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ワルターのブルックナーの交響曲第9番 [クラシック百銘盤]

ブルーノ・ワルターがコロンビア交響楽団を指揮した
ステレオ録音によるブルックナーは全3曲。
1959年11月の9番
1960年2月の4番
1961年3月の7番
がある。
本当は1962年の春のセッションで
8番が録音される予定であったようですが
それはワルターの体調不良そして死去により
録音されることがなくなってしまいました。

このようにワルターは一年一年大事に一曲ずつ
ブルックナーを録音していったのですが
このような録音の仕方をした作曲家は
じつはブルックナーだけのようです。

(マーラーなどはJFケネディの大統領就任で全米がわきかえっている中
前年のNYPOとの「大地の歌」の録音に続いて立て続けに
1番と9番という最初と最後のニ長調交響曲が同時録音されるなど
あきらかにブルックナーとは違うスタンスで録音されていたようです。)

ですがこのように大事に録音されていったにもかかわらず
ワルターのブルックナーはあまり評判がよくありません。
この最大の理由はコロンビア響の質ということがあるようで
その明るすぎる音質と少ない弦による量感の無さが
ブルックナーに向かないというのがそれのようです。

ところでじつはそのワルターのブルックナーに
かなり自分ははまってしまっておりまして
特に9番はこの指揮者のベストレコーディングのひとつではないかとおもう程
自分の中でその評価が大きくなっています。


(SRCR-2324)

たしかにオケの上であげた部分にまったく不満無しとはいいませんが
その堂々とした風格とスケールの大きさ
そしてこの曲には異例と思えるほどの壮麗な響きが
ブルックナーのこの曲を神様に捧げようとしたのがうなづけるほどの
そういう感覚をもってせまってくるものがありました。

特に終楽章
その清澄な響きと驚くほど気合の入った力感
ときどき聴かれる生々しいほどの弦の音
そして最後の圧倒的に朗々と吹かれるホルンの響きに
この作曲家の気持ちがこの楽章で終わってはいない
まだまだ先があるのだということを宣言しているような
そんな感じがしたもので
ブルックナーがこの楽章で終わることを良しとしなかったことを
音楽をもって高らかに証明したような演奏に聴こえたものでした。

またここではブルックナが体力的に
かなり衰えていった時期であるにもかかわらず
その自らを揺り動かす気力と集中力は逆にあがっていったような
そんなことが感じられる程
曲に内蔵されている膨大なエネルギーを抉りだそうとしている
そんなワルターの姿勢がここでは強い印象を残しています。
特に最後に第三楽章最後のホルン。
なんとここでは力強く奏でられていることか

これは凄い演奏です。
この9番。ぜひ再度顧みられてほしい演奏のひとつです。

演奏時間:①23:55、②11:34、③23:14

ところでじつはこの9番を含めて自分はワルターの
この三つのブルックナーの緩徐楽章のみを続けて聴くということをよくします。
また最近はそれに前述しましたブラームスの4番の第二楽章と
マーラーの9番の終楽章の計五つを録音順に聴くこともよくしています。
ちょっとしたアダージョ・ワルターみたいものなのですが
(実際はアンダンテが二つ入っています)
これを聴いて感じたことはワルターの場合
アンダンテがアダージョ風に
そしてアダージョがアンダンテ風に聴こえてくるのに気がつきました。

かつてワルターの演奏を「早いのか遅いのかわからない」
という名言で評した方がいらっしゃいましたが
これもそのひとつのあらわれなのかと感じたものですし
ワルターのこのブルックナーの交響曲第9番が
これだけ壮麗に聴こえた理由もそこにあるかのしれないと
そう感じたものでした。

このブルックナーの交響曲第9番を録音したとき
ワルターすでに83歳!
なんと若々しいことでしょう。
これにも正直驚きです。

ワルターはこの曲を1959年の11/16と11/18に録音しています。
他のブルックナーがそれ以上の日数をかけて録音をしているのを考えると
ちょっと意外に思ったものですが、
ワルターを詳細に扱われていますサイトによりますと
ワルターはこのブルックナーの9番録音する数日前の11/12と11/13の両日、
同曲をロサンゼルスフィルと演奏していたようです。

コロンビア響は元来ハリウッドやロサンゼルス近辺における演奏者を中心とした
そういうワルターの録音セッションのみの臨時編成オケだと聞いているが
その中にはロサンゼルスフィルのメンバーも含まれていたとか。

ということはこのときのコロンビア響はロサンゼルスフィルのメンバーが
かなりの人数を占めていたのではないかと考えられないでしょうか。
そうすればあそこまで短期間のセッションであげられたのも納得できるものがあります。
(ただそのためでしょうがオケが聴くたびにコロンビア響にしては上手いし厚みがある
そんなふうに聴こえてしかたありません。)

このあたりはちょっと詳しくないのであれなのですが
そう考えるとワルターのコロンビアセッションの場合
集められたメンバーによって多少の差がでてくるのでは?
といった気もしましたし
ブルックナーを1年ごとに1曲
マーラーの1番と9番を同時進行で録音したのにも
なにかそのあたりのこともあるのかもしれません。

そういえば当時のロサンゼルスフィルは
1959年初めまでヴァン・ベイヌムがシェフで
その後体調の異変を感じたのかその席を辞し4月1日に急逝されたのですが
ひょっとするとこのセッション直前の演奏会は
ベイヌム追悼と関係のあった演奏会だったのでしょうか?

クレンペラーのEMIセッションと違い
演奏会と録音セッションがセットされていたわけではないワルターの場合
このブルックナーの9番における演奏会と録音日は甚だ日程的に例外であり、
しかも上記したように録音日が異例とも思えるたった二日間ということを思うと
なんかこのへんいろいろなことが重なっての録音
そういうふうな気がしてきました。

トスカニーニ追悼演奏会での「英雄」ばかり有名ですが
このブルックナーの9番にもなにかそれに似たものがあるのかもしれません。
ワルター指揮ロサンゼルスフィルによるベイヌム追悼のブルックナーの9番。
そしてその素晴らしい演奏を受けてのほぼ同一メンバーによる
コロンビア響名義としての録音。
(当初から予定されていた録音であったとしてもですが。)

あくまでも推測ばかりのことなのであれなのですが…。

(2005年9~12月にかけて某所に書き込んだものを編集)


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コメント 7

阿伊沢萬

ワルターのブルックナーは正直フルトヴェングラーのブルックナーと並んで日本では過小評価されすぎてると思います。このベートーヴェンと直結するかのような演奏こそ、自分はブルックナーのもつ音楽に対する大事な要素のひとつと考えています。ワルターには同曲の1953年のNYPOとの壮絶な演奏もありますが、こちらはやや音がキツ目にとられてるので誰にでもおすすめできるような代物でないのが残念ですが、やはり基本はこのステレオ盤と同じです。

mat-chanさま、nice! ありがとうございます。
by 阿伊沢萬 (2015-01-13 21:27) 

サンフランシスコ人

ブルーノ・ワルターは度々サンフランシスコ響を指揮しました...
by サンフランシスコ人 (2015-09-13 02:56) 

阿伊沢萬

貴重な情報ありがとうございます。ちょっとこのあたり調べてみます。
by 阿伊沢萬 (2015-09-13 12:42) 

 サンフランシスコ人

ワルターはアメリカの不快な夏の気候が嫌いでした...
by サンフランシスコ人 (2015-09-15 00:57) 

阿伊沢萬

それで晩年のワルターの録音は冬の時期に集中していたのですね。納得しました。
by 阿伊沢萬 (2015-09-17 21:07) 

サンフランシスコ人

「ブルーノ・ワルターは度々サンフランシスコ響を指揮しました... 」

http://stanforddailyarchive.com/cgi-bin/stanford?a=d&d=stanford19290725-01.2.37&e=-------en-20--21--txt-txIN-student+army+training+corps------
by サンフランシスコ人 (2015-09-18 00:54) 

サンフランシスコ人

ブルーノ・ワルターはサンフランシスコでブルックナーの交響曲4番を指揮しました....

"The San Francisco Symphony first played the Bruckner Fourth in April 1951, under the direction of Bruno Walter"

http://www.sfsymphony.org/Watch-Listen-Learn/Read-Program-Notes/Program-Notes/BRUCKNER-Symphony-No-4-in-E-flat-major,-Romantic,.aspx
by サンフランシスコ人 (2015-09-19 01:17) 

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