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指揮者アシュケナージ [クラシック百銘盤]

ウラディーミル・アシュケナージ。

ピアニストとしての彼の実力を疑う人は少ないが、
こと指揮者としての彼は、
いかにいくつのポストを持ったとしても、
その実力をあまり高く評価する人はそれほどいない。


じつは自分もそのうちのひとりで、
彼のいくつかのCD、
さらにはN響の定期にも行くには行ったが、
酷評はしないものの、
また聴こうとかまた行こうという気に、
正直あまりなったことがない。

「あまり」

そうつまりすべてではないのです。

ではその例外となったものは何か。

それは彼がチェコフィルと日本のメーカーに録音したものがそれ。

彼は1996-2003年までチェコフィルの首席指揮者だった。
N響に在任する直前までの時期のこと。

そのとき録音したいくつかにじつはなかなかのものがある。
そのいくつかを今回紹介します。

最初は1999年に録音したドヴォルザークの「自然三部作」。
つまり交響詩「自然の中で」「謝肉祭」「オセロ」のこと。

dvowa.jpg

一緒に収録されている「新世界」が、
ひじょうに根性の入ってない腑抜けの演奏だったにもかかわらず、
その5か月前に録音したこの三部作はほとんど別人の指揮のようだ。

オケの輝き方や冴え方が尋常ではない。
しかも素晴らしく集中度の高い力感もあり、
それでいて弦の表情もじつにこまやかで瑞々しい。
録音の良さを含めれば同曲中ベスト3に入る名演だ。

この指揮者のみせるせせこましいところもないし、
力がいきなり抜けてしまうような隙も無い。

まさに圧巻といったところだろう。

この三部作の好きな人には必聴の名演だ。
それだけに「新世界」のあの腑抜けさがなんともなのですが…。


続いては翌年4月に録音した、
マーラーの交響曲第7番「夜の歌」。

M7.jpg

これはじつはこの曲が好きな人には物足りないかもしれない。

だがこの曲をくどいとか取つきにくいと思っている人には、
ある意味お勧めの演奏だ。

演奏は全体で約75分だが、
速めとはいえそんなに駆け足というわけでもない。

ただとてもさらさらと音楽を気持ちよく流していく。
けっして雑にすっ飛ばしていくというわけではない、
ただとにかくさらさらさくさくと気持ちよく流れていく。

それはまるでメンデルスゾーンのような感じすらするほど、
一種の心地よさまでともなうような感じで、
誤解のないように例えれば
「お茶漬けさくさく」というかんじなのかもしれない。

これがもしオケがN響だとしょうもない演奏になったかもしれないが、
この曲を初演し、
しかもこの録音当時かなり充実していた名門チェコフィルということで、
無期的な音が皆無というなかなかの聴きものだ。

CD1枚で聴けるというのもありがたく、
個人的にはけっこうなお気に入りとなっている。

同曲のベストというかんじではないかもしれないが、
この曲の別の顔をみせてくれたような、
そんなユニークかつ爽やかな演奏だ。


そして最後がこの年の秋に録音された、
Rシュトラウスの「英雄の生涯」。

WA.jpg

この曲というと冒頭から劇的かつ壮麗な、
いわゆる豪華絢爛たるドラマティックな演奏こそ名演という、
そんなかんじのレッテルを貼られているような曲だが、
ここでは劇的でも豪華絢爛でもない。

ただそれにかわる素晴らしく爽やかで美しい「歌」と、
抒情的ともいえる響きの美しさがある。

指揮者がいいのかオケが凄いのか、
その理由がどちらにあるかはさておき、
とにかくこれほど交響「詩」という雰囲気満点の、
そんな「英雄の生涯」も珍しい。

美しいというとオーマンディの1978年盤も絶品だが、
それとはまた違った素晴らしさがここにはある。

またチェコフィルの持つ流動感豊かなその歌い回しが、
この曲でもかなりプラスに作用している。

特に後半の美しさは音楽細工と形容したくなるほどのもので、
それこそ国宝級の絶品の響きを聴かせてくれる。


そしてそれは翌年録音された余白の「メタモルフォーゼン」にもいえる。

この録音は初日の録音の夜に、
オケのアシスタントコンサートマスターである。
ペーター・クリスティアンが急逝してしまうという、
たいへんな事態がもちあがったという。

この録音が初日まだ彼が健在だった時のテイクか、
もしくは沈痛な雰囲気の中で行われた二日目のテイクか、
それともその両方を混ぜたテイクかはわからないが、
いずれにせよこれもまた素晴らしい響きの演奏となっている。

そしてやはりよく歌った演奏だ。


以上1999年から2001年という、
アシュケナージがチェコフィルとの、
任期のちょうど半ば位に録音されたこの三点。

まあかなりの部分チェコフィルに助けられてるとはいえ、
アシュケナージという指揮者が、
まったくダメダメの録音しか残していないというわけではない、
中にはこのようななかなかの演奏を残していることを、
今回この三つの録音の紹介ということで、
それを記しておきたいと思います。


そんなアシュケナージも今年(2015)の7月で78歳。

いやあぜんぜんそんな感じがしないですねえ。
いろんな意味で。

以上で〆。

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サンフランシスコ人

アシュケナージのサンフランシスコ公演

アシュケナージ指揮
サンフランシスコ交響楽団

http://www.sfsymphony.org/Buy-Tickets/2015-2016/Ashkenazy-conducts-Shostakovich-and-Tchaikovsky.aspx

Shostakovich
Cello Concerto No. 1

Tchaikovsky
Symphony No. 4

Thu, Jun 2, 2016 at 8:00pm
Fri, Jun 3, 2016 at 8:00pm
Sat, Jun 4, 2016 at 8:00pm
by サンフランシスコ人 (2016-01-08 08:20) 

阿伊沢萬

スタドレル!先生のヘルメルソンやゲリンガスも凄いけどこの人はその上を行くんじゃないかといわれるほどの逸材。アシュケナージとのこのコンサートは誕生日を迎える前なのでまだ24歳!このコンサートは前半の方がむしろ聴きものというくらいですね。
by 阿伊沢萬 (2016-01-08 20:37) 

サンフランシスコ人

サンフランシスコで人気があるのがヨーヨー・マ....

http://www.sfsymphony.org/Buy-Tickets/2015-2016/Yo-Yo-Ma-and-Kathryn-Stott-in-Recital.aspx

Yo-Yo Ma and Kathryn Stott in Recital
Thu, May 12, 2016 at 8:00pm

Yo-Yo Ma
cello

Kathryn Stott
piano

Program
Bach (arr. Gounod)

"Ave Maria"
Sibelius

"Was it a dream?"
Gade

Tango Jalousie
Debussy

Beau soir
Schubert

"Ave Maria"
Shostakovich

Cello Sonata in D minor
Giovanni Sollima

Il bell'Antonio
Franck

Violin Sonata in A major [arranged for cello]
by サンフランシスコ人 (2016-01-09 07:29) 

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