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パリ管弦楽団の演奏会に行った。 [クラシック百物語]

2002年のプレートルの指揮以来、
14年ぶりにこのオーケストラを聴く。

曲目は、

ブリテン:歌劇「ピーター・グライムズ」から 「4つの海の間奏曲」作品33a」
メンデルスゾーン:バイオリン協奏曲 ホ短調 作品64 (バイオリン)ジョシュア・ベル
ブリテン:「セレナード 作品31」(テノール)マーク・パドモア
ドビュッシー:「歌劇“ペレアスとメリザンド”組曲」(ラインスドルフ編曲)

そして指揮は今シーズンからこのオケの監督となったダニエル・ハーディング。


最初このプログラムをみたとき、

「本当にこれでやるのか」

と、正直我が目を疑った。

四千人のホールで、
前半こそ一般受けするかもしれないが、
後半は長いわりにかなり地味な曲目で、
はたしてこれで日本の聴衆に受けるのかと、
かなり不安な気持ちになった。


実際前売りはあまり芳しくはなかったようで、
当日のNHKホールも
満員御礼とはとてもいえないかんじだったが、
これがかえって後半はいい方向に作用したのかも。


前半のブリテンを聴いた時、
驚くほどその音が渋くくすんだ響きに感じた。

これが曲のせいなのかホールのせいなのか指揮者のせいなのか、
そのあたりはわからなかったけど、
かなりの変わりように正直驚いた。

ただこのブリテンは、
ちょっと指揮者とオケに詰めの部分で、
微妙に気持ちがズレていたように感じられたが、
これはまだ来日して間もなかったためなのかも。

続くメンデルスゾーンはソロともども、
じつに過不足ない詩情をちりばめた演奏で、
渋いながらも小気味いい演奏で、
聴いていて気持ちよかった。


ただこのとき第一楽章終了時に、
演奏が続けて第二楽章に滑り込んでいくにもかかわらず、
その弱音の美しい部分で、
いきなり遅れてやってきて外で待機していた観客を、
問答無用にホールの中に、
係りの人が誘導していたのには驚いた。

しかもその時のパリ管の音が、
また素晴らしかっただけに余計これにはまいってしまった。

自分は入口からは遠かったので、
入場時のその雑音は感じなかったけど、
近くにいた人は大迷惑以外の何物でもない。

ふつうなら待たせるのが常識。

遅れた人も確かにお客様だが、
時間通り来て音楽に集中している人もまたお客様。

ちょっとこのホールの係りの人の感覚というか常識が、
自分にはちょっと理解できない。

よくある完全に楽章間で演奏者が構えをといて、
少し休みをいれているのなら、
こういうことも当たり前のこととして理解できるのですが…。

自分が神経質にすぎるというのなら、
このホールにこなければいいだけなのだが、
あのときその近くにいた人たちはどうだったのだろう。

これが心配になって、
けっきょくこの後のことはあまり記憶にないまま前半終了。


気持ち的にもやもやしてしまったので、
外の空気を吸いに出て少し気持ちを落ち着かせる。


そして後半。


これはもう言葉もないほどの演奏だった。

音色的にも音質的にも、
理想的といっていいほどのブリテンだしドビュッシーだ。

二曲で50分前後かかっていたと思うけど、
まるで休憩を入れてひとつの曲を聴いたような、
そんな不思議なかんじすらした後半だった。


ブリテンを聴いていると、
あらためてハーブィングがイギリスの指揮者だというかんじで、
静的な詩情を込めたその音楽は、
指揮者の深い共感なしにはありえないくらい、
心動かされるものがあった。

特に終曲で、舞台裏から吹かれたホルンのソロは、
じつに心に染み入るものだった。


最後のドビュッシーも、
「海」を想起させる幻想的雰囲気のものだけど、
この凹凸の少ない長大な幻想曲ともいえる組曲を、
指揮者もオーケストラも、
まったく飽きさせることなく見事に聴かせてくれた。

特にパリ管のそれは絶品で、
パリ管のドビュッシーというと色彩的にすぎるという理由で、
この演奏するラヴェルほどの好評を博してはいないが、
今日はそのくすんだ響きもあいまって、
そういう評価を完全に一掃するほどの、
理想的といっていいくらいのドビュッシーが奏でられた。


自分はかつてこの曲を聴いた時、
掴みどころのない曲ということで、
今までこの曲と距離をとっていたが、
この日の演奏はその距離を一気に取っ払ってしまうほど、
とにかく見事な演奏だった。

しかしハーディングの指揮。

この静的で幻想的な曲を、
その美しさを壊すことなく、
その音楽の底に「熱い火」をともしながら、
凄いまでの静かな情熱をこの曲に注ぎ込んでいた。

ほんとうに熱い指揮者です。


この演奏が収録されたのはじつ幸運なことだが、
後半のこの二曲が、
この日のみ演奏だったということはあまりにも残念。

ぜひもう一度実演で聴いてみたい演奏でした。


始動したばかりのハーディングとパリ管弦楽団。

今後の日本ツアーも素晴らしいことになるでしょうし、
間違いなくこれから大注目のコンビとなりそうです。


それにしてもこういうプログラムで勝負できるこのコンビがほんとうに羨ましい。

半世紀前のパリ音楽院管弦楽団の演奏に絶賛を惜しまなかった人たちの、
その気持ちがちょっとわかった気もした演奏会でした。


因みにこの日は対抗配置。
パリ管では初めて聴きました。
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サンフランシスコ人

私はパリ管弦楽団の演奏会に行った事がありません..
by サンフランシスコ人 (2016-11-20 04:33) 

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