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311大洗に行く [大洗とその周辺 (oarai)]

海楽を一週間後にひかえた大洗に行く。

まず偕楽園による。

選集よりさらに梅は満開で園内も混雑していましたが、
梅の匂いが心地よかったです。
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このあと水戸へ行き東照宮による。

駅から近いけどちょっと死角になっているようで、
駅からまるで見えない場所にある。
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そこには面白いものが展示してあった。
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このあと大洗へ行く。

今回は臨海線で行くが、
乗っているとけっこうやはり距離走ってるという実感を受ける。

大洗に着き、そのままアウトレットにいく。

ガルパンキャラリーは盛況だったけど、
311のこの日、
同じアウトレット内にある復興記念ギャラリーは閑散としていた。

ただそれ以上に悲しかったのは、
そこでの痛んでいた部分に手が入れられていないという状況。

これも今の大洗の姿なのか。

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中にあった展示物。
写真撮影については何も決まりがないので撮影しました。

こういうものはもっとしっかりとした状態で展示してほしい。

またこういう日は誰かこのスペースに係りの人がいてもいいのでは?
という気が強くした。

港をみていたら「さんふらわあふらの」が入港してきた。

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時間は午後二時より前。

六年前の今日も「さんふらわあふらの」が、
だいたい同じ時刻に入港している。

その後のことは以下のサイトに詳細が書かれています。
http://jafmate.jp/jmp/311/ibaraki/001.html

少し重い気持ちで磯前神社に向かう。


町はこの日午前中に避難訓練があったが、
この時間は不思議なくらい静かだった。

土曜日の昼下がりの、
観光にも力を入れている街にしては、
ガルパンファンを除くとかなり閑散とした印象を受ける。

311以降、
それ以前に比べるとビジターはかなり減り、
ガルパン特需で盛り返しはしたが、
一年を通すとまだ311以前のレベルには戻っていない。

常磐線が仙台方面まで全面開通しても、
はたしてどれだけさらに増えるのだろうか。

神社に行く途中には、
店を閉じたような旅館をいくつもみかけた。

海楽やあんこう祭での宿不足でのベースキャンプ開設の理由に、
こういうものも少しは影響しているのかもしれない。

磯前神社につく。

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今回は少し奥にある末社も訪ね、
ひとつひとつお参りをする。

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こうしてひととおりお参りをすると時間が2時45分になっていた。

すると遠くから放送の音声が聞こえてきた。
役場からだろうか。

内容は風が強くてハッキリとは聞き取れなかったが、

「2時46分になったら黙祷をお願いします。」

という内容だけは聞き取れた。


海が見える階段の近くまで行く。

そこからあらためて見た海はとても深い色にみえた。

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そして「黙祷」の声が聞こえた。

別にサイレンの音が鳴るわけでもなかった。

そのせいかまわりはとても静かで、
強かった風もこのときだけ穏やかに感じた。

自分はいつもは311のこの時間、
鎌倉の長谷寺で海に向かい黙祷をしているが、
鎌倉では時間と同時に各寺院から鐘をつく音が聞こえる。

それに比べると、
ほんとうに静かな311となった。

このときなんとなくだが、
鎌倉と大洗の311に対する感覚の違い、
そして津波に襲われた被災地のその感覚が、
ほんの少しだけわかるような気がした。


いつもは大洗に来るといろいろと愉しい気持ちになるが、
この日だけはひじょうに厳粛な気持にさせられたし、
311はまだ現在進行形だということを実感させられた。

大洗でこれなのだから、
より北の被害の大きなところではさらに厳しいことだろう。


自分は2011年の8月に花巻に行ったことがあるが、
東北の海沿いには行ったことがない。

いや、未だ行けないといった方がいいのもしれない。

この目で今の被災地をみたいという気はあるが、
そこには被災地はみせものではないという気持ちも働き、
どうしても踏ん切りがつかないものがある。

むずかしい。


途中「なめ屋旅館」さんの前を通る。


一度泊まりたかったけど、
自分は手のかかる宿泊人なので、
ちょっと躊躇しているうちに、
ここの女将さんがお亡くなりになられた。

いつもは開いていた窓や玄関も、
この日はすべて閉じられていた。

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一礼した後、大洗の駅に向かう。


いつも以上に大洗の街が静かに感じられた一日でした。
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グーグルの3Dマップで過去の道のりを上からみた。 [小さな旅(Japan small travel)]

ほんとに便利になったもので、
最近グーグルは3Dマップもあるのだという。

そこで自分は過去歩いたいくつかのそれを、
道のりも入れて3Dでみてみた。

よく歩く北鎌倉駅から江の島。
今回のそれは稲村ケ崎経由のそれ。
鎌倉江の島.jpg

10.5キロで2時間10分コース。
山から海へおりてきてそのまま海岸線というもの。

天気のいいときは気持いい。特に夏の早朝は最高です。

続いて新宿から浅草。
新宿浅草地図1.jpg

これはさっきより1キロ程長い。

新宿から靖国神社、秋葉原、上野公園、浅草寺と、
東京の過去と今が次々とみれるコース。秋の紅葉時がよかった。


そして水戸から大洗
大洗地図2.jpg

水浜線跡に沿って歩くコースで、
12キロあるがまったくの平坦地なのでそれほどきつくはない。
ただ景色は変化がそれほどない、
かつてある書物でその景色が「平々凡々」みたいに言われていたけど、
確かに間違ってはいない。

ただ次第に海風が感じられるのがここちいい。
花粉さえなければ今がいちばんいい季節かも。


そして最長コースのひとつ沼津~三の浦。
沼津三津1.jpg

江浦湾の回り込みに時間をかなりとられるのでこの時間。

ただこれは蛇松緑道を経由しているので、
ストレートに414号に早々と出るコースをとれば、
30分ほど短縮できます。

季節的には桜の季節あたりがいいような気がします。


最後に距離は短いですが新橋駅からお台場のビッグサイト。
新橋台場.jpg

ここは晴海大橋の横風が凄い。

夏なんかは涼しくていいけど、
冬は寒くて耐えられないくらい強烈。

また遠くに見えるビッグサイトが、
歩いても歩いても近づかない感じがして
精神的にちと滅入るものがあります。

築地と豊洲という今話題のそれがともにみれますが、
それ以上に来るたびにどんどん街が変わり、
オリンピックか近づいているという感じがします。


こんな感じです。

しかし世の中ほんと便利になりました。
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ワルターのブルックナーの9番 (書き足し) [クラシック百銘盤]

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今から10年前、
ブルーノ・ワルターが1959年の11月に録音した、
コロンビア交響楽団とのブルックナーの9番について、
いろいろと思うところを書きなぐったことがある。
http://orch.blog.so-net.ne.jp/2007-06-23-1

今それを読みながら、
同じ年の2月にコロンビア交響楽団を指揮した、
ブラームスの4番とシューベルトのグレートを聴き比べしながら、
この演奏を聴いた。


はっきりいって別団体といっていいほどオケの力が違う。

オケの基本的な厚さと音の密度、
そしてその落ち着いた響き、
ときおりいつものコロンビア響が聴かせる、
弦や金管の高音域の安っぽい音もここでは聴かれない。


同じホールで同じジョン・マックルーアの制作だから、
条件もほぼ同じでこれというのはやはり違いすぎる。

しかも以前に書いたとおり、
練習日程もこちらの方がかなり短い。


やはりこれはロサンゼルス・フィルハーモニーの演奏だろう。


この時期の同オケはちょうど音楽監督が不在だつた。

それは同年四月に当時の音楽監督ベイヌムが急逝してしまったためだ。

もっともベイヌムはこの年の6月には退任する予定だったようで、
いずれにせよこの時期は監督不在ではあったらしい。

ただこの当時のロサンゼルスフィルはたいへん状態がよく、
のちにメータが着任し一世を風靡した時期でさえ、
ベイヌム時代を高く評価する声が聴かれたというのだから、
それはかなりのものだったのだろう。

またこの当時は名コンマス、
デヴィッド・ フリシナも活躍していたのだから猶更だ。


確かにときおりアンサンブルが綻びる瞬間もあるが、
これがいつものコロンビア響なら一気にバラけて録り直しになるところだけど、
ここでは音の中核ががっしり座っているため、
そういうこともなく気迫でのりきっている。


また弦の響きも後のメータ時代のロスフィルのような音質感があり、
これもいつものコロンビア響と違う雰囲気となっている。


それ以上にいつものコロンヒア響よりも音がくすんでいるのも、
この演奏に聴かれる特長で、
このあたりちょっとベイヌムが指揮したロンドンフィルのそれを、
なんとなくだけど思わせるものがある。


そんなオケを指揮してのワルターだから、
当然悪かろうはずがない。


しかも数日前にはコンサートにかけて一度は仕上げているのだから、
いつものように一からつくる必要もない。

後にワルターはこの録音をひじょうに気に入っていたらしく、
自らのベスト録音のひとつにあげていたとのこと。

当然だろうという気がした。


この緊張感、音の張り、密度と充実感、
これほどのステレオ録音のワルターはそうそう聴けるものではない。

尚、Bruno Walter Home Page、によると、
この録音の三日前と四日前にロサンゼルスフィルは、
ブルックナーの9番を演奏しているが、
前半にはブラームスの悲劇的序曲とモーツァルトの38番も演奏している。

そしてこの二曲もブルックナーの翌月に38番、
そしてその翌月に悲劇的序曲がコロンビア響とともに録音されている。


これらもかなり見事な演奏だけど、
ただこちらはもういつものコロンビアという感じが強い。

もう70年近く前の録音だが、
そのわりには今聴いても音質はそこそこ良好。

因みにこの演奏はYouTubeにもupされています。
https://www.youtube.com/watch?v=LX3Ug5C4I9Y

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「茨城交通水浜線歴史探訪スタンプラリー」をする。 [水浜線跡廃線の旅]

「茨城交通で運行していた水戸と大洗を結ぶ路面電車「水浜線」の廃線より50周年という節目を迎えました。
そこで弊社では、大洗町を舞台にしたアニメ「ガールズ&パンツァー」とコラボした「廃線跡を巡るスタンプラリー付きの1日フリーきっぷ」を平成29年3月1日より発売いたします。」
http://www.ibako.co.jp/contents/newsrelease/2017/02/13908.html
というものがあったので出かけた。

ただついでということで偕楽園にも行く。

臨時の「偕楽園」駅も開業。
梅もかなりの見ごろでした。
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このあと水戸に向かう。

水戸駅北口の「茨城交通」の窓口へ行く。

宝くじ売り場のような感じの、
ちょっとローカルな雰囲気の場所で
スタンプラリーの台紙をもらう。

因みにこれは1日フリーきっぷも兼ねているので、
ひとつ1200円となる。

この金額は水戸駅から大洗海岸までのバスの運賃が、
片道610円というところからきているのだろう。

またこのとき水浜線の小冊子ももらう。
なかなかその歴史がコンパクトにまとめられている。
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全八ページ。


台紙をもらった後ふつうはすぐにラリーにうつるのですが、
この日は弘道館正門が開門している日なので、
少し寄り道をしてまずそっちへ向かう。
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このあと水郡線と51号が重なるあたりへ向かい、
そこからいつものルートを、
指定された七か所を巡りながら大洗シーサイドホテルへ向かう。

もちろん歩き。

場所によってそのスタンプ置き場はいろいろとありますが、
いくつかは日曜ということもあり無人の場所もありました。

ただ天気がよかったので本町二ではこんなかんじでおかれていました。
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こちらは栗崎の飛田自動車。
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今回のコースは水浜線の跡地をまわれるように、
できるだけ配慮したコースどりをしていたようですが、
ただ一か所、
茨城交通の浜田営業所だけはこのコースから離れていて、
ちょっとここをまわるのが一苦労でした。
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またこのあたり一時的にかなり暑くなり、
コンビニでアイスを買ったりしたため、
時間的にいろいろとロスしてしまいました。


あとはいろいろと跡地を歩きながら、
あちこちでスタンプとのんびりやっていきました。

随所にある大洗へ向かって伸びる直線跡地がなかなかです。
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最終的に自分がどういうふうに回ったかは今回明記しませんが、
水戸を出てからいろいろと寄り道をした分もあわせて、
大洗シーサイドホテルのフロントで最後のスタンプを押すまで、
ざっと四時間十五分。

三時間半くらいで行けるかと思っていたので、
このあたりちょっと誤算でした。

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最後はスタンプを押し切ったこれをもって、
水戸駅北口の茨城交通窓口に行けば記念品がもらえるということで、
もう少し町をみてから水戸に向かおうかと思っていたら、
「大洗派出所入口」バス停の所でちょうど水戸行のバスと遭遇。

少し疲れがではじめていたので
ここでフリーきっぷを使って、
急遽予定変更水戸へ戻ることにする。

ようやく使えたという感じでバスで一路水戸駅へ。

何時間もかけて歩いた道を三十分ほどで戻っていく。

それにしても大洗に来て、
一度も臨海鉄道を使わなかったのかは今回が初めて。

これもまた新鮮だった。

水戸駅北口に就きそのまま茨城交通窓口へ。

そこでこれをもらいました。
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とにかくなかなかタフですが面白い企画でした。


ただ気になったのは。
このスタンプラリー用紙を持っている人を、
朝、何人も水戸駅付近でみかけだけど、
途中スタンプの設置場所では何人かみかけたものの、
自分のように歩いている人にはついぞ出会えなかった。

バス、自家用車、さらにはレンタサイクルといった、
そのあたりで移動されているのかも。

ちょっとそのあたりが個人的には寂しかった。


次回は好天なら3/11もしくは3/19に歩く予定です。

海楽は今回もかなりの混雑が予想されるので、
できれば晴れてほしいところです。





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『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』を観て。 [劇場公開アニメ]

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http://sao-movie.net/

映画の日ということもあり、
公開からだいぶたって観に行った。

TV放送時けっこう楽しくみていた作品だけど、
今回劇場版を観に行くのが遅くなったのは、
自分の中にちょっとためらいがあったからだ。


正直もう休ませてやれよという感じで、
生死を賭けた闘いと、
自分の大切なものを守るための戦いを、
あれだけ繰り広げたのだから、
もう主役二人はもちろんだけど、
その他の面々も解放してやったら?
という気持ちがあったからだ。


だけどやはり好きな作品の続編ということで、
いそいそといつもの横浜の映画館へ。


以下ネタバレ込。


冒頭けっこうゆっくりとした展開で話が進む。
途中時計をみたらまだ15分しか経っておらず、
ちょっとこの緩い展開だと辛いなあと正直思った。


そして戦闘もこれまた鈍い運び方で、
なんともみててもどかしい。

ただこのやや鈍い展開の理由が途中で分かってきた。

ようするにVRとARの体感の差異を、
観る側に伝えるための鈍さと重さなのかなと、
そんなかんじに思えてきた。


これがだいたい75分過ぎくらいまで続いていたと思う。

途中かなり緊迫したシーンなどもあったけど、
それもかなり音は大きいけど抑制されたものだった。


ただその抑制によりためにためたエネルギーが、
最後の最後で突如大爆発した。


最上層アインクラッドでの戦い。


もう唖然としてしまった。

オールスター全員集合状態のこのシーン、
もうとんでもないくらいのスピード感と迫力とキレ。

ほとんど

「トルネードアニメ」

といっていいくらいのF5スケールの凄まじさだ。


とにかく今まで思いっきりためにためこんだそれを、
短時間でしかも倍返しでフルスイングしたのだからたまらない。

ヤンキースタジアムでバックスクリーン越えの場外ホームランを、
何人もの打者が連続して初球から打ったかのような、
そんな唖然とするとにかく戦闘シーンだった。

もうこのシーンだけで全体の9割を注ぎ込んだかのような、
とにかくほんとに総力戦という言葉がふさわしい、
瞬間最大風速がマックス越えにまで達した凄まじいシーンだった。


正直このシーンの後は、
もう流れでごく自然に粛々と話が進んでいったかのようで、
なんかこっちが虚脱状態になってしまったようでした。


最後はちょっと哀しい話も織り込まれているけど、
明るくくったくのない爽やかな終わり方で、

「ああこれでみんな解放される…いい作品でした。」

と終了宣言を勝手に出してそのままみていたが、
なんと最後の最後で次の伏線が…。


「もう、みんな休ませてあげてよ…!」


と、まるで「シン・ゴジラ」のラストシーンみたいで、
さすがになんかもう可哀そうになってしまいました。


とはいえこれだけのもの見せられたら、
やっぱり見ちゃうんだろうなあという自分もまた悲しい…

…そんな感じでした。

ただこれだとリピーターが多いだろうなあという感じで、
まもなく興行収入が20億越えといのもうなずけました。

ちょっとクセになりそうな作品です。


以上です。




(苦言)


パンフレットで声優さんの名前を省略していたのはいただけない。
こういのうのは関係者の作品へのそれを疑ってしまう。

もうこれだけはとにかくやめてほしい。礼儀として最低です。


あと鹿賀丈史さん。

なんか珍しくとまどっていたというか、
キャラのそれをつかめぬまま演じていたというか。

もう少し本領を発揮してほしかったです。

ちょっと残念。

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井上道義指揮大阪フィルハーモニー東京公演に行く [クラシック百物語]

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(会場)東京芸術劇場
(座席3階K列21番
(曲目)
ショスタコーヴィチ/交響曲第11番 ト短調 「1905年」作品103
ショスタコーヴィチ/交響曲第12番 ニ短調 「1917年」作品112


井上道義さんと大阪フィルのショスタコーヴィチを聴いた。

かつての日比谷公会堂での連続演奏会以来。

大阪で同プロを二回行い、
その後二日開けてのこの東京公演。

オケはそのためこの曲に対し、
ある程度慣れみたいものがあり、
それがいい意味で表情の練れとなってあらわれていたが、
オケの蓄積された疲弊は後半いろいろとあわれていた。

これだけのハードなプロを立て続けにやったのだから、
さすがにノーミスでやれというのは無理な話なので、
仕方ないといえば仕方ないのだろう。

やってるのはサンクトのフィルハーモニーでもなければ、
シカゴやベルリンのオーケストラでもないのだ。


前半の11番は抑制のきいた演奏で
第一楽章から弦を中心とした音楽の集中度が素晴らしい。

ただ井上さんのショスタコーヴィチは、
ラザレフのような劇場型でもなければ、
北原さんのように王宮広場での事件を、
聴き手にその現場に立たせ目撃者とさせることもない、

それはまるで圧倒的に巨大な壁画に、
細部までその顛末を、
そこにいる人間の阿鼻叫喚や嘆きと絶望を含め、
とことん心血注ぎ込み描き込んだかのような演奏となっていた。

これにより音楽に込められた情報もかなり濃密かつ圧倒的で、
聴き手に強い集中を結果強いることとなった。

このため演奏する方にとっても聴き手にとっても、
かなりタフな演奏会となったようだ。

その為劇的な部分では怒涛の如く大音響が当然ながらオケに要求され、
それはそれで聴き応えがあるにはあったが、
第三楽章の冒頭の低弦のピチカートの深い響きからはじまる、
その静謐な部分の音楽の方がさらに秀逸で、
強く心に刻み込まれるような強い求心力がそこには働いていた。

ショスタコーヴィチの音楽のある意味真髄のようなものが、
垣間見られたような気がするほどだった。

20分の休憩の後、後半の12番。

正直この曲は11番より力を入れっぱなしに近いものがあり、
金管を中心にオケにかなりきているものが感じられた。

しか井上さんの音楽の激しさは、
11番よりさらに強熱的なものがあり、
その押しては引くような感情の怒涛の大波が
凄まじいばかりに第一楽章から吹き荒れていた。

その後第二楽章にためにためたエネルギーが、
第三楽章を上り詰めて第四楽章で一気に爆発するあたりで、
井上さんはこの日の二つの交響曲分のまとめをするかのような、
きわめて強大なエネルギーを音楽に注ぎ込んでいた。

大阪フィルもそのため音は濁りミスもかなり散見されたが、
井上さんにしてみればノーミスのような綺麗ごとは二の次で、
むしろそういう部分を乗り越えて放出される、
感情のふり幅やエネルギーこそこの曲に必要であって、
そこに傷だらけになりながら、
それこそ足元もふらつきよろけながらも、
自分たちの信じる明るい未来を勝ち取った人たちの姿を、
そしてじつはその後に決してそれが明るい未来ではなかったことも、
すべて描き出すことができると考えていたような気がした。


それはかつて日比谷で井上さんが聴かせた、
あの13番における姿勢とどこか重なるものがあった。


圧倒的な輝かしい音楽で幕を閉じたかのように聴こえてはいたが、
その割に歓声等が意外に少なかったのは、
ただこの重量級のプロに疲れたというだけではなかったのではないか。

何かそんな感じが最後に気持ちのかたすみに残る演奏でした。



ただ自分とってこれほどの演奏であったにもかかわらず、
この演奏会の感銘はいまいちだった。


今回のホールと自分はどこで聴いても以前から相性は悪い。
なので一番安価な席で聴いていたけど、
その割にいいかんじで聴けたのはありがたかったものの、
相性の悪さは依然としてそのままだった。

できれば日比谷公会堂で聴きたかった。


ただそれ以上にまいったのは、
演奏中に前半後半関係なく間断なく続いたある「ついてない事」。


終演後井上さんのマイクがあったようだけど、
自分は拍手鳴りやまぬ早いうちに退席したのは、
疲れたというだけではない、

今回のこの「ついてない事」は、
自分がコンサートから一時遠ざかった要因のひとつだが、
これによりまたしばらく遠ざかることになりそうだ。

これは運もからんでいてもうどうしようもない、
むしろこれから増えていくことなのかもしれない。

それを思うと
自分にとってもう演奏会は来るべき所ではないのかもしれない。


もっともこれほどの演奏を聴けたのなら、
これを最後としても悔いはあまり残らないという気もするのですが…。


最後に。

クラシック音楽はここ十数年の間に、
井上さんやラザレフによって、
超弩級のショスタコーヴィチが数多く日本で演奏された。

他にもアレクセーエフや北原幸男さんによる演奏も素晴らしかった。

特に最初の二人は良好な録音が少なからずあるのが嬉しい。

今後これらの演奏は歴史的名演として、
その録音とともに長く語り継がれることになると思う。

それはかつてのヨッフム、チェリビダッケ、朝比奈、ヴァント、
さらにその他多くの指揮者によってブルックナーの名演が多く演奏された、
日本の二十世紀最後の十数年の時代のそれと同等といってもいいと思う。


伝説的名演もすべて今のその目の前にあるひとつの演奏会からはじまる。
そしてそれと真摯に対峙した人たちによって、
後世へと誠実に語り伝えられる事でその幕があがる。

そんなこともあらためて感じさせられたこの日の演奏会でした。

尚、今回の公演も録音されているということなので、
今後もある意味生きた記録として残されるのは本当にありがたいことです。

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スクロバチェフスキ氏が死去 [お悔み]

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指揮者のスタニスラフ・スクロバチェフスキ氏が21日、米ミネアポリスの病院で死去した。93歳。ロンドンの所属事務所が発表した。

 1923年、ポーランド(現ウクライナ西部)のリビウ生まれ。ポーランド各地で指揮者を務めた後に渡米。60~79年に現在のミネソタ管弦楽団で音楽監督、2007~10年には読売日本交響楽団の常任指揮者も務めた。近年は「世界最高齢の現役指揮者」としても知られ、最後の公演は昨年10月だった。(ニューヨーク=共同)

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG22H1R_S7A220C1CC0000/



来日中止の報を聞いて、
いつかはと覚悟はしていましたが…

氏なら100才まで元気に指揮台に立たれると思ってました。


謹んで哀悼の意を表します。


しかし昨年から、

ブーレーズ、アーノンクール、マリナー、プレートルと、

相次いで大御所の訃報が続いている。

世代交代が進んではいるが、
このあたりのなじみの深い指揮者が去られて行くのは、
やはりつらいものがあります。
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「輪廻のラグランジェ」雑感 [アニメ(2012放送開始)]

このアニメは今年(2017)で放送開始から5年を迎える。

地名の連呼しすぎとかいろいろとあって、
「聖地」としてはポシャッた感があるけど、
こと内容的にはかなりの名作だし、
個人的に今世紀見たアニメでもかなり上位の作品だ。

ストーリーもキャラも声優もよかった。

ただ上記したように、
なんか聖地の失敗が作品もダメみたいな流れになってるのは、
正直納得できないものがある。

だいたいアニメであれだけ綺麗なバックドロップホールドを、
ロボットでみせただけでも傑作だろう。
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またこの作品、
喜怒哀楽がこれほどすべて綺麗に揃った作品というも、
稀という気がする。

しかもけっこうそのふり幅が大きい。

これには主役の京乃まどかの、
きわめて前向き思考の姿勢が大きい。

ただ京乃まどかは同じ頭文字の、
かの加藤茉莉香とよく似たような雰囲気だけど、
茉莉香のように勝手に人が集まるというよりは、
まどかは自分から人を集めるに行くような、
そんな部分が強くある。

ジャージ部などもなんかそのあらわれみたいにみえるし、
一期のラストでランがいなくなるシーンなどでは、
その姿勢にあるまどかの心のうちのようなものが見えるようで、
明るさとそれによってうちに我慢している弱さが同居した、
ひじょうに人間的なヒロインという気がする。

だからみている方も、
いささか調子よく進むストーリーにも、
そのヒロインを応援したくなってしまうし、
誰一人悲劇に向かって走らせたくないという、
そういう気持ちにさせるのだろう。

ある意味これぼと人間というか、
その運命というものを、
肯定的かつ前向きに描いていった作品というのも、
なんか稀という気がするし、
みていて何か元気をもらえるような、
そんな気が毎回見てて感じられたものでした。

これには当時の日本の雰囲気というものもある。


この放送が始まった当時、
まだあの311から一年も経っていなかった時期だ。

震度4以上の地震が、
けっこう各地でまだ起きていた時期。

特に原発のそれは暗く日本にのしかかり、
風評被害で厳しい影響を受けている所もあった。

それは東北だけでなく北関東でも例外ではなかった。

そんな時期だっただけに、
この明るく前向きな、
そして笑えるし能天気な要素もふんだんに盛り込まれたこの作品は、
みていた当時とても救われたものがあった。


そこにはじつは「鴨川」という地名も一役かっていた。

確かに聖地では失敗かもしれないけど、
この作品の中ではそこそここれは機能していたと思う。

これが横浜とか神戸だとさほどではないけど、
宇宙や地球の運命をかけた戦いが、
何で千葉の外房にある一地方都市で、
これほど執拗に繰り広げられなければならんのかという、
そのシチュエーションかとにかくおかしかった。

「鴨川」という、
地元には失礼かもしれないけど、
それほどお洒落ではない、
かといって京都の鴨川のような粋な土地とも違うし、
名前の響きもどこか素朴なこの地名が、
SFという枠で連呼されるのは、
物凄く奇妙でなんかとにかくおかしかった。

それはガルパンで大洗女子という形で、
「大洗」が連呼されるのとちょっと似ていた気がする。

なので「聖地」云々と切り離すと、
これはこれで作品の内容的にも、
なんかものすごくイケるこれは感じだった。


最後もほんとこれでもかというくらい、
綺麗に明るく大きくまとまった大団円。

これみてスカッとしない人などいないだろうというくらい、
気持ちのいい終わり方でした。

そしてこの番組の二期終了の翌月から「ガルパン」。

さらに「ガルパン」の10.5話放送の翌月からは、
かの「ラブライブ」の放送が始まる。


こういうお化けアニメが、
「ラグランジェ」の後立て続けに登場したのはついてなかったけど、
でも自分にとっては、
この作品はそれでも印象として決して小さくないそれを残してくれた。


なので自分は当時、
劇場版がいずれできるのではないかと、
本気でそう思っていた。


…というくらい自分にとって、
この作品はかなりのものとなってます。

ただそれでも今に至るまで安房鴨川に一度も来訪してないのは、
聖地としてはあまり魅力も意義も感じないことと、
横浜から意外に遠いという事があるからです。


ただ繰り返しますが、
それでもとにかくこの作品は楽しかったです。

あっけらかんとしているけど、
妙に情があるといいますか、
とにかく「義理人情では動かない~♪」とは、
ずいぶん違うところはありましたが、
そこがまたよかったということです。

この三人もいいかんじで出来上がっていました。
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それとこのシーン!まどかの詠み方も秀逸。
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因みに当たったかるたは「ちはやふる…」ではありませんでした。

さすがにそこまではやらなかったといったところでしょうか。

今から五年前、
ちょうど放送されていたということもあり、
今回あらためてこの項目をつくってみました。

因みに放送当時は自分はこの作品をこう書いてました。

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輪廻のラグランジェ

前向きかつ楽天的なエヴァンゲリオンといったら語弊があるかもしれないが、これもまた笑える作品だ。だいたいヒロインがメカにのってジャーマンスープレックスホールドを放つというアニメは今までみたことがない。これが話がすすむにつれ、フルネルソンスープレックス、とか、タイガードライバー91とか出されたらかなりマニアックな状況になってくるだろう。しかしこの下のシーンは笑えた。最近の若い人がつくるアニメはほんとにキレのいい笑いを挿入するのが旨い。
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当時自分はこれをジャーマンスープレックスホールドと言ってたんですね。
ちよっと意外。

因みに最終回等のまとめを、
何故か自分は当時書いていません。
なんでだろう?

書いた記憶はあるのですが…。

それもあっての今回の投稿です。

尚、
この項目は以前あった「ラグランジェ」のお知らせに使ってたものを、
この内容に差し替え再利用しました。
ご了承ください。
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蛇松緑道(沼津港線跡)を行く。 [沼津~内浦(Numazu~Uchiura)]

沼津にかつてあった貨物専用線

「沼津港線」

その廃線跡の多くが現在、

「蛇松緑道」

という遊歩道となっている。

今回はそこを歩いてみた。


沼津港線はかつて蛇松線といわれ、
東海道本線を敷設するためにつくられた貨物線で
静岡県内最古の鉄道としても知られているとのこと。

その後沼津港への物資運搬等の貨物線、
清水港線として運用されるが、
1974年8月末に廃線になったという。


というわけで、
清水港線に継ぐ静岡の廃線だけど、
こちらもまた清水港線同様、
たいへん跡地がきれいに整備されている。

静岡県は鉄道の廃線の使い方がうまいが、
じつは横浜でも似たようなものが、
桜木町の近くから赤煉瓦倉庫方面に向かって、
さらには横浜港にも遊歩道やその他諸々として残されています。

これもそろそろまとめてみたいと思います。

というわけですが今回はとにかく沼津港線を利用した蛇松緑道へ。


沼津駅南口を出ですぐ右折し清水方向へ歩く、
かつてはこのもう少しJRよりを清水港線も走っており、
その後沼津通運本社倉庫の中を通るようにして、
162号の白銀町交差点付近まできていたようだ。

そして現在その後は蛇松緑道として遊歩道となっている。

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ここがその交差点付近の出発点。

途中「蛇松白銀歩道橋」を渡る。
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渡るとこういうものが設置されている。
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途中何か所か車道を横断することになる。
かつてはこれらの関係で接触事故が多かったという。
なんとなく分かる。
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しばらく歩くと桜並木がみえてくる。
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桜の季節はさぞ壮観だろう。ぜひまたこの時期に来てみたい。

このあたりから後方に富士山が見える。
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電線や樹木の関係で写真撮影にはあまり適していないが、
ふつうに観る分には最高の富士が堪能できる。

行きはともかく、
沼津駅への帰路は天気が良ければ富士山を見ながら帰れる。

歩いて30分程で少し大きめ公園の公園に出る。

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この木の向こうに公園が広がっている。

ここで沼津港線は二又に分かれる。
蛇松緑道は狩野川の港大橋方面に向かう。

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この写真でいうと直進する感じ。

その緑道を暫く歩くと終点に着く。
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そこには鉄道関係の物がいろいろと展示してある。
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そこから土手にあがると港大橋がみえる。
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その大橋上から富士が真正面に見える。壮観です。
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さてここで一度先ほどの公園まで戻ります。
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今度はこのやや右に向かって伸びている道へ行きます。

こちらはのちに作られた新線の跡地です。

こちらはなんと
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このように線路がしっかりと残されています。
一部には枕木もありました。

このあと線路は一路沼津港へ。
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つきあたりにはバス停があります。
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そしてこのあと線路はみかけませんでしたが、
廃線跡は一路、沼津みなと新鮮館の前へ。

そして終点の沼津港駅は今、沼津魚市場になっています。
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と、こんな感じです。

前線踏破し往復しても二時間半もあれば大丈夫かと。

清水港線が片道二時間近くかかったことを思うと、
その半分くらいというかんじでしょうか。

もし沼津駅から沼津港方面へ行かれる方は、
特に桜の季節など好天時には、
この蛇松緑道を通られて行くのも一興かと。

途中からは線路が港前の交差点近くまでエスコートしてくれます。

とにかくここはなかなかでした。

こうしてみると沼津から内浦まではいろいろとあります。

沼津駅から蛇松緑道、
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緑道途中の公園脇にある塞神社。ちょっとわかりにくいかも。
十月半ばにお祭りが行われます。
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そして沼津港、
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狩野川と港大橋、
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富士山、
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御用邸。
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この日はひな人形が御用邸では飾られていました。

獅子浜北付近のゴジラ山と津島神社
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江浦湾や口野放水路
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金櫻神社とそこからの眺望。
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淡島マリンパーク
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そして内浦のいろいろな見処と、
けっこういろいろと面白いものが点在しています。


もうしばらくはこのあたり定期的にうろうろしそうです。

以上で〆
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飯守さん指揮の神奈川フィルの演奏会に行く。 [クラシック百物語]

飯守泰次郎指揮神奈川フィルハーモニー管弦楽団(2/18)
(会場)みなとみらい
(座席2階RE3列1番
(曲目)
ベートーヴェン/交響曲第8番ヘ長調Op.93 
シューベルト/交響曲第8(9)番ハ長調D944「グレート」 


神奈川フィルの演奏会を久しぶりに聴く。

前回は2014年2/22の同じく飯守さんの指揮による、
ブルックナーの7番以来。

そのときの感想は以下にあります。
http://blogs.yahoo.co.jp/orch1973/54054871.html

正直言うと川瀬さんの体制になって、
好評と好演を連発しているという噂を聞いてなければ、
この演奏会にはきていなかったと思う。

川瀬さんは以前まだここの常任になる前に音楽堂で演奏した、
ハイドンの90番が強烈な印象として焼き付いていて、
http://blogs.yahoo.co.jp/orch1973/53457390.html
そのせいかその後のそれはある程度予想していたとはいえ、
やはりとても気になっていた。


ただ個人的に、
ここ数年コンサートになかなか行ける感覚ではなかったこともあり、
予想通りその後コンサートそのものから遠ざかってしまったが、
幸い昨秋あたりから少し気持ち的に持ち直してきたこともあり、
今回聴きに行った次第。

公開練習でも感じたけど、
あきらかに神奈川フィルは今が最盛期といっていいくらい状態がいい。
シュナイト時代やその前後の時期にも感じたこのオケへの不満が、
もうほとんど感じられなくなっていた。

それどころか予想もしていないくらい、
このオケの長所をそのまま活かしながら、
力強く積極性に富んだ厚みのあるオケに変貌していた。


なのでこの日のコンサートはまさに「聴くべし!」状態だった。


飯守さんの指揮をいつ聴いても思うことに、
その音楽にいくつもの平行した美しいラインがあるように感じられることがある。

それがワーグナーやブルックナーではいくつもの波紋や風紋を描きながら、
美しい音楽をそこに展開していくのですが、
これがベートーヴェンやハイドンとなると、
これが独特の様式美へと転化されていくのが面白い。


今回のプロはまさにそれで、
飯守さんのこのあたりの曲へのスタンスがとてもよくわかる、
なかなか面白い選曲となっているようです。


ベートーヴェンの8番が初演されたころ、
シューベルトは二番目の交響曲に着手しており、
それから四年の間に五曲の交響曲を書き上げた、

だがそれからのシューベルトの交響曲創作は難航を極め、
あの「未完成交響曲」を含めて、
最低でも四曲の交響曲を未完のまま放棄した形となってしまった。

このためシューベルトの最後の十年間で完成された曲は、
べーと―ウェンの第九が初演された翌年から本格的に書き進められた、
このハ長調の第8番しかない。

それを思うと、
ベートーヴェンの交響曲第8番と、
シューベルトのこのハ長調を並べて聴くことは、
聴く人それぞれにいろいろと想起させられるものがある。


また今回のこの二曲がベートーヴェンの交響曲第7番同様、
リズムというものが大きなポイントになっている事も共通しており、
これも今回の飯守さんの演奏にも強くあらわれていた。


そんないろいろと考えさせられるプロだけど、
飯守さんのそれはとにかく一貫して強い音楽がそこには描かれていた。


前半のベートーヴェン。
確かに素晴らしく勢いのある出だしだけど、
どちらかという大きなメロディの塊を奔流のように押し出したかのようで、
きっちりとした古典的な演奏という感じはしなかった。

ところが繰り返しになって再度冒頭に戻った瞬間、
今度は音楽そのものが一段高い所まで立ち上がったかのような、
じつに力強い造形美を伴った音楽として鳴り響いた。

そのときこの交響曲には、
じつはこれだけの強さと大きさが込められていたということを、
あらためて感じさせられるものがあった。

もちろんそれだけではなく、
第三楽章のトリオにおけるチェロのソロと、
ホルンを中心とした木管の美しいコラボレーションなども素晴らしく、
この曲にはこれだけ多くのものが贅沢に詰め込まれているのかと、
とにかく飯守さんのこの演奏はこの曲の魅力をいろいろと再確認させられる、
本当に素晴らしい演奏でした。


そして後半のハ長調。

飯守さんらしい個性的な部分も散見されたけど、
とにかくこれほどタフで強靭な演奏というのも稀だろう。

反復も徹底的に行ったため、
その演奏時間は60分ほどになっていたと思う。

中低音とティバニーもしっかりと連動して強いパワーを生んでいたし、
この曲独特の執拗な繰り返しも、
どんどんエネルギーに変えて突き進んでいくような、
鈍重とは無縁な推進力を兼ねていた。


ただいちばん強く感じられたのは、
この曲がシューベルトの二十代半ばに書かれた作品であるということ。

確かにシューベルト最後の完成交響曲であり、
死の二年前の作品ではあるものの、
当時のシューベルトにまだ死は遠い存在であり、
むしろこの八長調の大交響曲を出発点として、
さらに自分の世界を押し進めていこうという、
そういう作曲者の意気込みと若さがこの演奏からは感じられた。


飯守さんはかつてブラームスの第四交響曲を、
ブラームスの年齢から考えて枯れた曲というより、
壮年期の活気と覇気の方が感じられる曲として演奏していたが、
この演奏を聴いていてそれをふと思い出した。

またこの曲を作曲中に、
おそらくベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲の、
少なくとも12番と15番を、
シューベルトが耳にしたであろうことも、
何故かこの演奏を聴いていて、
この曲からなんとなく感じられるような気がした。


とにかく輝かしいくらいの若さ、
ベートーヴェンからの影響、
そしてロマン派との融合と、
とにかくこの演奏も前半のベートーヴェン同様、
これまたふんだんにいろいろと盛り込まれた贅沢な演奏だった。


またこの二つの曲の、
盛り沢山の要素を表出させた飯守さんによるタッチの強いタフな音楽を、
ここまで描きつくした神奈川フィルも素晴らしかった。


これで来季からのそれもまた実り多き名演の数々が生まれるだろう。

ほんとうにいい演奏会でした。

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